2010年12月28日
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デジタル専用レコーダーに補償金は要るのか要らないのか

Written By: 川俣 晶連絡先

「日経にも載ってた記事だ」

「コピー制限がガチガチに掛かった以上、補償金は要らないよね」

「うん。そこだ」

「どこどこ?」

「コピー制限が掛かったデジタル録画機であれば、極めて制限された範囲でしか使用できず、不正コピーの温床にはなり得ない……のなら、確かに東芝は勝って当たり前だ」

「違うわけ?」

「うん、実態はまるで違う。アナログ停波前に、デジタルによる無制限データコピーの技術は普及してしまっている」

「でも、それは専用のチューナーとか買わないとダメなんだろう?」

「そうでもない。TS抜きと言われる技術があって、既存の機器を改造して途中から信号を抜いてくる技術もある」

「でも、それはやれないように設計すればいいわけだろ?」

「それはそうなんだが、やれてしまう機種もあるわけだ。そして、その間の線引きは難しい」

「なぜ?」

「多くのユーザーは自らの行為を泥棒に類するものという認識があるので、そういう行為を行っていると自慢しないからだ。まあ、ネットには勘違いして自慢している連中も多いけどね」

「そうか。こっそり密かに行われている改造は、誰にも全貌を把握できない訳か」

「どの機種でどの程度行われているかはっきりしなければ、一律に課金するしかないという発想もあり得る」

「金を取る側はそう思うよね。とりっぱぐれないためには」

「でも、取られる方はたまらん。『うちの製品に限って』というプライドがあれば尚更だ」

「そうか」

「かくして誰も証明できない実態のまわりを関係者がぐるぐるまわって終わりのない論争が続く」

「根拠が明瞭にならない限り、永遠に話は平行線だね」

「その通りだ。この話には終わりがない」

「解決できないの?」

「現状のまま推移するなら、おそらく解決方法は無い。何しろ実態が分からないのではね」